図書館の変わって欲しい点

戸板俊敬


 限られた紙数のため言い足りない点が多々あるが,しいて一点に絞って,現在の本学図書館,特に西生田の図書館について,

性懲りなく,のべてみたい。それは資料収集とその利用方法を抜本的に変えられないかと言うことである。但しこれは図書館

側だけの一方的努力で解決するのではなく,西生田の学部全体一一即ち全学的ということでもあるが一一で真剣に取組むべき

ことだと最初に強調しておきたい。

 西生田の学部では,今や全分野に大学院が設けられ,又「生涯教育」の重視が唱えられている。更に全世界的に拡大された

情報網の中に本学も取り込まれている。この状況の中で現図書館は凡ゆる面に対応出来うるか。答はノンに近い。その一つは

学部発足当初から指摘され続けてきた専門資料の質,量の不足と目白図書館との関係の絡んだ利用面の不便さである。勿論資料

の充実は不断の努力を必要とするが,一寸立ち止まって,現行の個別専門分野が独自に己の領域の資料を整備していくことで,

自然に資料の総合性が得られるというノンキな考え方を見直したらどうだろう。何故なら,西生田に五学科,全学に四学部さら

に夫々に大学院を持つ教育組織が,独自に資料を集めることは当然としても,反面,総合的視点に立ってということが余りにも

等閑視されていて,図書館の姿もそれを反映しているからである。要するに,個を土台とした総合性の追求が忘れられているのだ。

 この状況を変えるには,学部が,大学が生れ変るほどの覚悟で取組まなければならない事柄とさえいえる。そしてこのことは,

本学が在学生にも,「生涯教育」に参加する人々にも果すべき最低の責任と自覚すべきである。本学が教育の場として,百年の

歴史を誇ろうとするなら,現在露呈している明らかな欠点を正していく知恵と勇気を持つことから始めるべきだろう。

(文化学科教授)