情報提供施設めぐり:東京都現代美術館図書室 (吉原 三紀子)


 東京都現代美術館(愛称MOT:Museum  Of contemporary art,Tokyo)にアンディ・

ウォーホル展を見に行った。ウォーホルらしさをどうやって感じとれぱよいか四苦八苦し,強い時代の

アメリカになんとなく触れることができたかな,でもやっぱり私はマーク・ロスコのほうが好き,などと

勝手な思いに耽りながら人ごみの展示会場から抜け出て,次のお目当て,美術図書室に向かった。

 どんな図書室なのか?パンフレットには,“近現代の美術に関する図書資料を中心に収集・保存し、"…広く

一般に公開…”とある。なるほど,MOTの展示を見るには料金が必要だが,この図書室の利用は無料である。

荷物をコインロッカーに預け,受付で番号の付いた入室証をもらって中に入る。書架をざっとながめる。美術

事典などの参考図書,画集などの大型図書を中心に和洋の図書が並んでいる,美術雑誌の最新号や最近の展覧会

のカタログが展示されている,日本各地の美術館の案内や所蔵品目録がある,美術雑誌の総目次や美術関係の

新聞記事の切り抜きのファィリングがある,子ども向きの美術書がまとめてある,など美術専門図書館ならでは

の品揃えが興味深い。しかし総じて書架はスカスカで図書がまだ入る余裕を感じた。パンフレットにある65000冊

の図書・展覧会カタログ,2000タイトルの雑誌のほとんどは閉架書庫に収められているらしい。

 図書だけでなく,展覧会カタログを検索できるコンピュータ,愛称,あ一図くんは楽しい。美術館や美術家名で

検索できる。使い勝手自体は日本女子大学図書館の検索システムと同じものなので親近感がもてる。また,さがし

だした資料が閉架書庫にある場合,資料請求票がプリントアウトされるのでそれに自分の入室証の番号を記入して

カウンターに出納を依頼する。お気にいりの美術家名で検索出来るので,楽しくてずっと使っていたいのだが,

今のところ3台しかない。順番待ちも止むなし,である。室内の資料は貸し出しはできない。コピーは1枚30円で

とれる。どの資料の何頁から何頁までと複写申込書に記人してカウンターにお願いして,待つ。残念ながら白黒で

等倍のみ。カタログの絵図のコピーに挑戦したが,真っ黒だった。

 芸術に関する図書資料についてレファレンスサービス(資料相談)にものってくれる。電話での問い合わせも可,

とは嬉しい。ただし,資料相談のカウンターで閉架書庫資料の出納,複写の受付をしているためにとても多忙に見

えた。とくに受付締め切り時間(午後5時)間際は何人も並んで待っていた。ぼんやりコピー待ちをしていると,

鉄腕アトムについてたずねている声が聞こえた。カウンターからの回答の言葉は,マンガ関係の資料は少ない,だった。

 室内は私のように,展覧会ついでになんとなくのぞきにきた風の人もいたが,閲覧席は資料を広げてメモを取る

老若男女でほぼ満席であった。

 美術図書室はMOTの地下一階にあるのだが,一階の映像ギャラリーも寄ってみた。ビデオを選んで見ることも

できるのだが,ここの目玉はコンピュータを使った検索コーナーであろう。図書資料を検索できるあ一図くんとは

違って,MOTの収蔵作品や展覧会の出品作品・作家についての文字情報や画像をタッチパネルで検索することが

できる。ここも展覧会帰りの人で大盛況であった。

 美術関係の調べ物をするにはもってこいのところだが,休日には人がいっぱいなので,時間に余裕をもっての

おでかけをおすすめしたい。

(館員・西生田図書館)