『日本女子大学図書館蔵森戸文庫目録(稿)』について


 本学図書館には,森戸辰男氏(1888-1984)よりご寄贈頂いた図書があり,森戸文庫とよんで

一般の図書とは区別している。森戸氏は大阪の大原社会問題研究所の研究員時代にドイツへ留学に

行き,社会問題・社会政策,経済学の文献などを系統的に蒐集された。その中から婦人問題関係

文献は,日本女子大学にご寄贈頂いた。森戸氏の著書『遍歴八十年』(日本経済新聞社1976年刊)

の中で…・1975年は「国際婦人年」でもあり,婦人間題の関心が急速に高まり,喜ぱしいことで

あったが,私自身は東大時代から十数年間,この課題を研究した。……と書かれている。この森戸

文庫和書131冊・洋書168冊の目録が,情報受入課長上村美紗子氏により編集・発行された。(1995年

10月刊)平成6年度桜楓会奨学金の援助を得て発行された目録である。いずれ解題を付ける予定で

(稿)とされている。和書は著者名の五十音順に,洋書は著者名のアルファベット順に配列し,和書

書名索引が付されている。貴重な図書が多く含まれているこの目録に目を通すことにより,本文庫の

概要を知ることができ,今まで以上に森戸文庫の意義とその資料の活用が高まってゆく手だてとなる

であろう。森戸文庫については,目録の編者上村氏が「日本女子大学図書館だより」No.69(1987.6)

に紹介記事を書かれている。

 戦後,文部大臣や広島大学長,日本育英会会長,中央教育審議会会長ほか多くの役職を歴任され,

教育改革に足跡を残された森戸辰男氏の旧蔵書は,他機関にも寄贈されている。他には『広島大学

森戸文庫目録』『広島大学森戸文庫目録(続)』『労働科学研究所森戸文庫目録』も刊行され,この

目録は本学図書館でも所蔵している。(令)