図書館だよリ100号によせて
宮本美沙子
本学の「図書館だより」が今回第100号を迎えますよし,ここまで運んでこられました関係各位
のご努力に対し,心から敬意を表します。また第100号に至りますまでの間に,多くの興味深くかつ
有益な玉稿を賜りました諸先生に,厚く御礼を申し上げます。
本学の図書館の歴史は非常に古く,創立者成瀬仁蔵先生は,本学開校の2カ月前にすでに図書を
集めておられ,1903年(明治36年)には図書館の形態が備わり,1906年(明治39年)には豊明館
(豊明図書館)が建設されたということです(「図書館だより」No.50及びNo.90参照)。
現在の図書館は,創立60周年記念事業の一つとして,1964年(昭和39年)6月23日に,成瀬仁蔵
先生の生誕の日を期して開館されました。当時としては,全国に先駆けて全館開架式を採用して作
られ,正面玄関に刻まれたラテン語“VERITAS VIA VITAE(生を通しての真理)”
の言葉から,図書館の使命を実感したものです。その年の10月20日に「図書館だより」第1号が発行
されております。したがって,いま第100号を迎えましたこの「図書館だより」は,現在の図書館
と共に歩んだ歴史を持っていると申せます。
いまや図書館の機能は,図書や資料,ビデオ,CDなどの集積ばかりでなく,科学技術を駆使した
情報網の機能をも担う,大変な役割を果すことが期待されております。 しかもこれらの役割は,
現在在籍している学生へのサービスのみならず,卒業生を含み広く生涯学習のニーズに応えること
も期待されるのです。
ところで,図書館が生涯学習のニーズに応える役割も担う問題は,本学では,すでに「図書館友
の会」により立派にその役割が運営されております。「図書館友の会」は,第6代学長上代タノ先生
により1965年(昭和40年)に始められたものです。かつてアメリカのスミス・カレッジの図書館
を訪問された上代先生は,図書館の利用者も多く研究に余念のない雰囲気に感動されたそうです。
そこで,そのように活発に機能している理由を尋ねたところ,「図書館友の会」が作られており,
学生ばかりでなく卒業生もどんどん図書館を訪ねて一緒になって研究できる体制が作られている
ことがわかったということです。そこで上代先生はこれに倣い,本学にも「図書館友の会」を作られ
たのだそうです。(「図書館だより」No.50参照)。本学の「図書館友の会」は,現在600余名の
会員を擁し,講座,読書会,文学散歩,美術散歩などが活発に行われております。
今後ますます生涯学習の重要性は増すものと思われます。世間一般には,生涯教育とか生涯学習
ということは,1965年(昭和40年)にユネスコの成人教育推進国際委貝会において,社会の全成員
に生涯の教育権を与えることが提唱されて以来普及したことだと思われております。 ところが,
それよりもはるか前の明冶の頃に,成瀬先生は,卒業後も生涯にわたり学び続けられるような大学拡張
運動を提唱しておられ,生涯学習の実践として桜楓会及び通信教育会を起こしておられました。
生涯学習の原点を本学に見ると言っても過言ではありません。
本学の図書館の蔵書冊数は,目白と西生田の両地区を合わせると57万冊を越えており,学生一人
当たりの蔵書数は他大学に勝るとも言われております。また,コンピュータシステム・ジュリス
(JWULIS)も導入され,情報網の助けを借り,両地区の連絡もスムーズに行われております。
ただし,スペースの点では狭隘化し,トランクルームを利用せざるを得ません。図書館の増改築は
いますぐには出来ませんが,将来の重要な検討課題と申せます。このような状況でありますが,学生
にも卒業生にも,情報の検索を始め図書や資料,AVなども大いに活用してもらい,学習の実を
上げてもらいたいものです。 同時に,図書館員の一層のサービスもよろしくお願い申し上げます。
「図書館だより」第100号発行にあたり今後の図書館のますますの発展を,心から祈念して筆
を擱きます。(学長)