今でも私は日本女子大学の図書館のお世話になることが多い。評論などを書く場合,原典にあたる必要が起こる ことがよくあり,手もとにないとき,目白へ助けを求めに来るのである。いわゆる<孫引き>の危険をよく承知し ているので,どうしても,元のテキストにあたらないと気がすまない。その点,当大学の図書館は,私の専門に 限っていえば,なかなか頼りになる。それは永年にわたり,苦労して本の蒐集に努めてこられた当事者のおかげで ある。 しかし国際化の時代になって,例えぱ日本文学の外国語訳や海外における研究書などが殖えている。ポーランド やチェコやタイでも日本研究の成果が出始めるこの頃,それら原本を集めることも必要だろう。今後ますます視野 を広めて,新しいなまの資料を揃えてほしいと思う。ともあれ収蔵スペースの問題を含め,常に改善が計られてい ることに期待したい。(第5代図書館長)