はじめに(図書館だより第1号巻頭言再録)

篠崎茂穂

 日本女子大の新図書館は大学図書館界の注目を引いているのか参観者が多くなってきている。其の注目の焦点は

建物の様式と利用にあると思う。所で建物は既に完成しているので我々の立場からも残されているのは利用の点に

ある。其の事に就てファーズ博士は開館式の祝辞の中で「学生諸氏,図書館員及び教授陣がこの美事な建物を今後

どうあつかうかにかかっている」と述べられている。

 大学図書館は大学の心臓で又教育機能を果たす処だと云われている。このような目的が達成されるためには,

図書館は単に学生の自習復習の場から自発創生的研究の場となり,図書館員はそのための奉仕を機能の本質として

行かなければなるまい。だが新図書館が理想的に運用されるに到るには今一つの最も大切なものがある。それは

教授陣の協力である。其の協力は教授諸氏の講義と研究とが図書館の利用の直結している事を必要とする。

其の点に関し再度ファーズ博士に語らしめると,「みなさんが学生たちに適切な関連資料を積極的に自主的に

みづから進んで調べるように刺激し奨励される限りにおいてのみ図書館の利用は最大限に達するのであります。」

と云うのである。我々図書館員は置かれている立場の認識を新にし運用の理想実現のため善い奉仕活動を以って

内外の期待に添わねばならない。(元図書館主事)