図書館の利用者として

木藤才蔵

 晴れた日には,三宅島まで見渡すことのできる天城山の麓の林の中に,草庵を構えているので,近頃は東京へ

出かけるのも一仕事です。しかし,日本女子大学の図書館は万事使いやすくできているので,今でも時々利用さ

せてもらっています。そこで利用者のひとりとして平素感じていることを一つだけ記しておきます。図書が改訂

されたり増補されたりして,新版が刊行された場合,旧版は廃棄される場合が多いようです。しかし,文学作品

などは,研究の必要上,旧版もぜひ保管しておいてほしいものです。このことは文学作品に限りません。一例を

あげれぱ連歌師宗養の動静や尼子氏関係の文事に関する貴重な資料が引用してある島根県史などは,われわれに

とっては旧版のほうが必要です。こうしたものは,新版が出ても,旧版もぜひ保管しておいてもらいたいもの

です。 (第3代図書館長)