司書として--実践と理念-- (上村美紗子 )


 1980年日本図書館協会総会で採択され、同年秋の全国図書館大会において支持する決議がなされ

た「図書館員の倫理綱領」では、図書館員の職務遂行のよりどころを、社会の期待と利用者の要求に

求めている。これより先、図書館の存在を法的に義務づけた図書館法もまた、社会の期待により成立を

みたものであった。

 従って図書館の目的を実現するためには、基本的に資料の収集、組織化、保存、提供があり、これらの

機能を軸として実務的な活動が様々に展開されるのである。

 現今では、利用者の図書館に寄せる要望は多様で高度化しており、それは、司書の専門性の絶えざる向

上と、自律的規範をもつ職場集団としての認識の必要性を促しているといえよう。

 「図書館活動」の授業を担当して5年になる。この科目は毎年平均70人ほどの受講生がおり、みな極め

て熱心である。当然のことながらこの資格課程の一端を担うことに、責任の重さと意義を感じている。

 現在の司書課程の様相では、所定の枠内で自ら現場での図書館の活動を通して、常に学習を重ねて授業を

すすめることであろう。将来進むべき選択肢の一つとして司書の資格を選んだ場合、どのような活動を担う

ことになるのか、最大の関心事である。図書館資料を介して利用者に接する点で、専門職としての仕事、

その司書の拠って立つ図書館という生きた組織体の機能などについて、可能な限り幅広く実践に即し、かつ

それを支える理念をも示しつつ、具体的、実証的な知識として学び会得できるよう、丁寧な講義を行うよう

に心掛けている。

 

 (情報受入課長・司書課程「図書館活動」担当)